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【別れの日】屋根上でフェステとの最後の会話

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別れの日 - この記事は連載の一部です
パート 5: この記事
時間:2025年1月18日12時30分

「そんなとこに突っ立っておらんで、お主も横に座ったらどうじゃ?」

「いやー、しかしいろいろあったのう。紛れもなく大冒険の旅じゃったわい。」

屋根の上で、フェステはいつものように少しふざけた口調で話し始めた。彼は見た目は小さく、時にはわざと子供っぽく振る舞うが、その言葉には深い知恵と経験がにじみ出ている。長い旅路を共にした彼は、私にとってただのNPCではなく、かけがえのない相棒だった。

「ここらでちと一服……」

「……などと考えてはおらんじゃろうな?」

「そうはいかんぞ!お主の名は今こそ旬!なのじゃ!」

「竜王を倒した最強の冒険者!その名は『ユウキコ』!」

「……という触れ込みで これからもがっぽがっぽ稼ぐのじゃ!」

彼の言葉はいつも通り元気で、未来への希望に満ちていた。しかし、サービス終了が近づく中、その声には少しだけ寂しさが混じっているようにも感じた。

「のんびりしておる暇などないぞ。お主とワシはずっと一緒じゃからな!」

そう言いながら、フェステは空を見上げ、にやりと笑った。この瞬間が最後だとわかっていても、彼の言葉は私の心に強く響き、これまでの冒険のすべてが一瞬でよみがえった。フェステとの思い出は、このゲーム世界で過ごした時間そのものだった。

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